健康保険組合に加入していない主に中小企業の従業員とその家族などが加入する政府管掌健康保険は、従来、国(社会保険庁)が運営していましたが、平成20年10月1日より新たに設立された全国健康保険協会が運営することになりました。この協会が運営する健康保険の愛称を「協会けんぽ」といいます。
加入者にとっての大きな変化は当面はありません。健康保険への加入や保険料の納付の手続については、従来と同様、社会保険事務所(社会保険庁)において、会社を通じて、厚生年金の手続とあわせて行われます。
一方、全国健康保険協会は健康保険の保険者として、被保険者証の発行、レセプト(診療報酬明細書)の点検、保険給付、健診や保健指導等の保健事業等、会社を退職した場合に継続して任意で加入する人(任意継続被保険者)の手続といった従来の社会保険庁が運営していた業務を行います。また円滑な移行を図るため、協会職員の巡回等により、社会保険事務所にて申請の受付窓口が開設されます。
10月1日以降に新たに協会けんぽに加入する人や被保険者証の再交付の手続をした人には、全国健康保険協会から新たな被保険者証が発行されます。
従前から政府管掌健康保険に加入していた人には、10月以降順次、新たな被保険者証への切替えが行われます。これら被保険者証の切替え手続は、従業員である一般の被保険者は会社を通じて行われ、任意継続被保険者は直接自宅に郵送されます。
被保険者証の切替えが完了するまでは、従前の被保険者証は引き続き医療機関等で使用できます。なお、切替えの期間等の具体的な内容については、今後、協会から会社や各種広報を通じて発表されます。
保険料に関しては、平成20年10月の協会設立時の健康保険保険料率は、政府管掌健康保険の保険料率(8.2%)が適用されます。しかしながら、高齢者の医療費を支えるための分担金によって政管健保の財政も厳しくなっていて、厚生労働省は近い将来、0.1〜0.3%程度保険料率を上げる必要が出てくると試算していますで、来年度以降は8.2%を超えるケースが予想されています。
協会けんぽが、従来の政府管掌の健康保険と大きく異なる点は、都道府県(支部)単位での独自性を重視していることです。つまり協会けんぽでは、都道府県支部ごとに保険料率が違うことも許されているのです。
それにより、来年度以降、都道府県ごとに地域の医療費が反映した保険料率が設定されることとなっています。「年齢構成」や「所得水準」により、同じ医療を受けても異なる保険料率、つまり異なる保険料を支払う可能性が大きいと言うことです。なお、都道府県別保険料率への移行に当たり、都道府県によって保険料率が大幅に異なる場合には政治的配慮として格差を抑制する措置が取られる可能性があります。
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