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高年法をはじめ、様々な法律を解説|木田社会保険労務士事務所
高年法
1: 高年法改定について
2: 雇用確保措置の違い
3: 国の支援は?
労働者との契約

国はどのような支援を行うのか:第3回

65歳までの雇用の確保は国家的な課題です。このため、高齢者の雇用の確保に取り組む企業に対してはさまざまな支援策が講じられています。
とくに、民間企業においては60歳を境に賃金が大幅に減額される場合が少なくないため、減額された手取り収入を補填する目的で、次のような給付金制度や助成金制度が設けられています。

1:高年齢雇用継続基本給付金を利用する

高年齢雇用継続基本給付金は、労働者が60歳以降も引続き雇用され、その者の賃金が60歳到達時に比べて75%未満になった場合に支給されます。支給額は、賃金が61%未満に下がった場合の15%の支給率を最大として、65歳に達するまでの5年間支給されます。受給するための要件は次のとおりです。

(1) 60歳以降も雇用保険の一般被保険者であること
(2) 雇用保険の被保険者期間が通算して5年以上あること
(3) 60歳時点に比べて75%未満の賃金で雇用されていること
(4) 各月の賃金額が346,224円未満であること
(5) 育児・介護休業給付の対象者になっていないこと
  ■給付金の支給例
 
 
Aさんの給料が30万円から18万円に下がった。給料が60%にダウンしたので給付率は最大の15%になる。ダウンした給料18万円の15%に相当する額は2万7千円なので、給料18万円に給付金の2万7千円をプラスすれば、この時点で20万7千円の収入が確保されたことになる。
 
 

2:年金、高年齢雇用継続基本給付金、賃金の併用で手取り収入を維持する

本来、65歳から支給が開始される老齢厚生年金を、60歳以降も働いている者が在職中からもらえる「在職老齢厚生年金」があります。
賃金に在職老齢厚生年金と高年齢雇用継続基本給付金の制度を併せて利用すれば、60歳以降に賃金が下がっても、条件によっては60歳以前の手取り収入とほぼ同額まで確保できる場合があります。

在職老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分プラス加給年金で構成されており、その計算は、給与の額(平均標準報酬月額)や被保険者期間の月数によって個人ごとに差があり、また年金月額と総報酬月額相当額との合計額が28万円を超えた場合や高年齢雇用継続基本給付金を受給した場合には一定の調整が行われるなど、複雑な計算方法が用いられますので具体的な金額を示すことはできませんが、基本的には次のような算式によって計算されます。

・年金月額+総報酬月額相当額が28万円以下の場合は支給  支給停止額=0円

・年金月額+総報酬月額相当額が28万円を超える場合
(1) 年金月額が28万円以下、かつ、総報酬月額相当額が48万円以下の場合
支給停止額=(総報酬月額相当額+年金月額−28万円)×6
(2) 年金月額が28万円以下、かつ、総報酬月額相当額が48万円を超える場合
支給停止額={(年金月額+20万円)÷2+(総報酬月額相当額−48万円)}×12
(3) 年金月額が28万円を超え、かつ、総報酬月額相当額が48万円以下の場合
支給停止額=総報酬月額相当額×6
(4) 年金月額が28万円を超え、かつ、総報酬月額相当額が48万円を超える場合
支給停止額={24万円+(総報酬月額相当額−48万円)}×12

3:助成金を有効に活用する

高齢者の継続雇用に関する助成金は、継続雇用制度を導入した企業に対して助成される継続雇用定着促進助成金、高齢期の能力開発、職場の転換などを支援する次のような制度があります。

  <継続雇用定着促進助成金>
 
 
就業規則等により61歳以上への定年の延長または希望者全員を65歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度を導入する。
例:事業規模10人から99人の事業所
・65歳以上への定年延長の場合 定年延長1年につき90万円×延長年数
・継続雇用 1年につき60万円×継続雇用年数
 
 
  <職業能力開発休暇給付金(キャリア形成促進助成金)>
 
 
キャリア形成促進助成金の受給資格認定を受け、年間職業能力開発計画に基づき、その雇用する労働者の申し出により、教育訓練、職業能力評価またはキャリアコンサルティングを受けさせるための職業能力開発休暇を与えた場合、経費の一部が助成される。

・教育訓練の受講・職業能力評価の受検に要した費用の1/4(中小企業1/3)

・職業能力開発休暇期間中の賃金の1/4(中小企業1/3)150日が限度
 
 
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