定年制の廃止は、労働契約期間に終期がなくなるとを意味し、一定の年齢に達したことを理由として退職させることはできなくなります。
労働基準法には、労働者の解雇について「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする。」と定められています。したがって、高年齢者に限らず労働者を退職させるためには「合理的な理由の存在」が絶対的な必要条件となります。
合理的な理由の存在とは、たとえば「(1)労働者の労働提供能力または適格性の欠如・喪失等 (2)勤務成績の著しい不良 (3)労働者の服務規律違反 (4)経営の合理化による職種の消滅と他職種への転換不能 (5)経営不振による人員整理」などの場合をいいます。
このように、定年制を廃止した場合には、労働者側から退職の意思表示がなされない限り雇い続けなければならないことになり、これは労働者の定着率の向上に期待できる反面、人件費の増加や従業員の固定化による企業活動の停滞といった問題が発生するおそれもあります。 |