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「社労士の1分労務講座」
国土交通省の中部地方整備局に寄せられた相談事例に「建設機械をオペレータ付でリース契約をした場合、請負契約か。」という質問があります。これに対して同整備局では次のように回答しています。
『オペレータ付リース契約をする場合であっても、工事の完成を目的として締結する契約であれば、建設工事の請負契約となります。なお、リース会社から派遣されるオペレータを建設業務に就かせることは、労働者派遣法に違反するおそれがあります。』
一見投げやりな回答のようにも思えますが、この回答には重要な二つの意味が込められています。つまり、建設工事の完成を目的として建設機械にオペレータを付けて受け入れれば請負契約とみなすが、同時にそれは労働者派遣法にも違反するおそれがあると注意を促したものです。
ここで問題になるのは、人間であるオペレータをリース物件と同じように受け入れることができるかということです。このような場合は人は人、リース物件はリース物件として切り離して考える必要があります。
このケースの場合、オペレータは建設機械を操作するために送り込まれた労働者なので、その者がどの会社に所属しているかを確認する必要があります。リース会社の社員であれば、その社員に対して指揮命令を行えるのはリース会社だけということになります。
すでに述べたように、所属する会社と労働契約を維持したままで他人の指揮命令を受けて労働に従事すれば出向または派遣とみなされます。
したがって、この場合には違法性は免れないものと思われますので、建設業法に基づいた請負契約を締結するのが最善かと考えます。 |
国土交通省の中部地方整備局に寄せられた質問に『会社組織でない4〜6人程度の労務班に型枠、鉄筋、コンクリート、土工当の施工させる際に、自社の社員が安全・品質出来形・工程・施工方法等について直接指揮して施工した場合は直営施工とみなしてよいか。』というのがあります。これに対して、同整備局は「直営施工には当たらない」と回答しています。
その理由として同整備局は、「直営施工については"自ら雇用する労働者をもって建設工事を施工する場合をいう。"と定義されているので、自社と直接労働契約関係にない労働者を直接指揮しても直営施工には当たらない。」としたものです。
そして、このようなケースの場合、「労働者の派遣または労働者供給事業等の問題が生じるおそれがある。」と付け加えています。
会社組織でない労務班を請負とみなすためには、すでに説明したように下請契約の条件を満たしていなければなりませんが、その要件にも該当しないとなれば、労働者の派遣または労働者供給事業のいずれかということになります。
一般派遣の説明でも述べたように、建設業の現場作業に係る業務は派遣禁止とされており、これに違反した者および労働者供給事業を行った者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
労働者に指揮命令ができるのは労働契約を取り交わした相手側、つまり「雇入通知書」を発行した労働者だけです。したがって、この質問のケースの場合は違法性の強い出向、派遣、または労働者供給事業のいずれかということになります。 |
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