もし誰かに"なぜ契約書を書くの?"と聞かれたら、たぶん多くの人が「口約束だけでは心もとないから」「約束したことを忘れないため」あるいは「後でもめ事になるのが嫌だから」等々の答えをするのではないでしょうか。
その通りなのです。契約書を交わすことの最大の目的は、約束したことを契約書にしたため相互に確認し合い、その約束を互いに守ることによって後日の紛争を避けることにあります。
たとえば、洋服屋さんで洋服の仕立てを注文するとき「生地は、色は、寸法は、襟の形は、裏地は、ボタンは、ポケットは、仕上がり日は、支払い方法は、」と、こと細かに打合せをするはずです。そのとき洋服屋さんは催促しなくても聞き間違いがないように注文書に細部にいたるまで記録していきます。もし注文通りに洋服が出来上がらなかったら、仕立て直し、代金の割引き、場合によっては返品ということにもなりかねないからです。契約を交わすことの原点は正にここにあります。
建設業の請負契約は洋服の仕立て注文とは比較にならないほど金額が大きいので、一旦紛争にでも発展したらその解決には多大のお金がかかることを覚悟しておかなければなりません。 |