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出向と派遣の違いは何か


 出向も派遣も自社の労働者がその地位を保持したまま他企業で働くことでは一致していますが、出向と派遣の最も大きな違いは、出向が労働契約の一部が出向元に残り労働契約の一部が出向先に移転するのに対して、派遣は労働者に対する指揮命令権だけが派遣先に移転して労働契約そのものは派遣先には移転しないことです。
 つまり、出向と派遣の違いは「労働契約が他企業に移転するかどうか」によって区別することができます。
 そして、もう一つの大きな違いは、出向が人事交流、技術の提携、経営指導、業務の応援、人員の削減手段など非営利活動を目的として行われるのに対して、派遣は営利を目的とした事業として行われることです。
 したがって、出向が労働者の供給を目的に反復継続して行われるような場合は、形式的には出向契約となっていても実態は労働者供給事業とみなされ"偽装"問題に発展するおそれがあります。
 また、平成20年3月1日に労働契約法が制定されるまでは出向に関する法律上の基準は存在しませんでしたが、この法律の制定によって、「権利の濫用による出向命令は無効」とされました。つまり、出向を命じる必要性があるか、対象労働者の選定に当たって生活上の事情が考慮されているかなどが有効、無効の判断基準とされるものです。
 一方、労働者の派遣が適法とみなされるためには、派遣労働者と派遣先との間に指揮命令による従属労働が存在すること、および派遣元事業主は派遣事業に関する認可を受けていることが条件とされます。
 次に出向と派遣の違いと、その特徴を整理してみました。

出向の特徴   派遣の特徴
1. 出向元の労働者としての地位を保持したまま出向元と出向先に二重の雇用関係が存在する。
2. 在籍出向は出向元の会社に復帰するのが原則。
3. 出向は営利目的ではなく人事交流、技術の提携、形成指導、業務の応援、人員の削減手段等として行う。
4. 出向させるためには労働者と個別同意または包括同意が必要。
5. 権利の濫用となる出向命令は無効となる。
 
1. 雇用関係は派遣元だけに存在し派遣先には指揮命令権だけが移転する。
2. 労働者を出向先に雇用させることを目的としない。 
3. 労働者の派遣を事業として反復して行う。
4. 一般派遣の対象となる者は最初から派遣要員として雇入れる。
5. 労働者派遣法による認可(一般派遣)または届出(特定派遣)が必要。
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