終身雇用、年功賃金、年功昇進、新卒者の定期採用、社内教育などに代表される日本的雇用システムが事実上崩壊した。これらの日本的雇用システムが戦後の日本経済成長の活力として大きく貢献してきたことは誰もが否定しない事実である。
その優れた日本的雇用システムがいまなぜ崩壊したのだろうか。最大の理由は、戦後最悪といわれる長期的な景気の低迷により、経済活動が縮小し労働力の過剰供給構造へと変化し、日本的雇用システムのデメリットの部分だけが目立つようになってきたためである。
今後ますます激しくなると予想される競争社会の中で、過剰な労働者を抱え込むことは企業にとって大きなリスクを負うことになる。このため、専門家や一部の企業で新しい雇い方の研究が進められている。
新しい雇い方とは、契約社員、派遣社員、パートタイマーといった雇い方とは異なる雇用関係を前提としない「業務処理請負契約」ともいえる方法で、業務の処理を請負者(受託者)が会社の指揮命令下で行うのではなく、委託された業務をあくまでも自分の裁量で処理するというものである。
この契約方法を採用すると、会社は、社会・労働保険料の支払い、健康診断などの福利厚生面への配慮、解雇手続きなど労務管理に関する一切の手続きや手順から開放されることになる。ただし、このシステムを採用するためには、さまざまな問題をクリアしなければならない。
たとえば、他人の労働力を利用する契約には「請負契約・委任契約・労働契約」の3つの契約方法があるが、法律上確立していない業務処理請負契約はこのいずれとも異なる。さらに派遣、労働者供給事業、転籍、出向などとも異なるため、これを合法的に取り入れるために企業は法律に抵触しない業務請負の具体的な基準づくりから始めなければならない。
"業務請負業"そのものは従来からも存在しており、決して新しい制度ではないが、 これから新しく取り入れようとする業務処理請負契約は、一部の研究者の間では
「社内独立型業務委託制度」とも呼ばれ、新しい雇い方として普及が進められており、注目をあびている。
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